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日本代表 11年前

日本代表、W杯までに改善したい4つの課題【ブラジルまでの果てなき航路】

W杯まであと1年と少し。日本はまだ出場決定ではないが、ほぼ決まりと言っていい状況だ。であるならば、本大会へ向けた課題を整理し、結果を出すためにも前進する必要がある。シリーズでお送りする第1回のテーマは現状の課題だ。

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka , Ryota Harada

さらに高める必要がある動きの質

 最短でアジアを勝ち抜き、そこから世界目線の強化を進める。ザッケローニ監督は“ヨルダン戦前とヨルダン戦後”という青写真を明確に描いていた。しかし結果として日本代表はヨルダンに敗れ、6月にホームで行われるオーストラリア戦までW杯出場はお預けとなった。

 とはいえ残りの2試合で日本がW杯を逃す確率は限り無く低い。ここでは少々気が早いものの、“対世界”という視点で簡単ではあるがザック・ジャパンの現在地と強化ポイントを整理したい。世界を視野に入れた評価として大きく分けると4つのポイントがあげられる。

①ザッケローニ監督が目指す基本スタイルの習熟
②環境や相手に対応できる勝負強さ
③戦術的なバリエーション
④選手層のアップとオプションの強化

はチームの基本になる部分。「所属チームでのやり方は一度忘れて、代表のやり方を思い出してほしい」。ザッケローニ監督は代表合宿のたびにそう主張してきた。具体的には“攻守のバランス”“縦志向の攻撃”“パス&ムーブ”というコンセプトの三本柱を共有しながら、各ポジションの役割をしっかりとこなし、局面に応じて連動していくことだ。

 基本的な戦術理解は共有されているが、上位レベルの相手を想定した場合、守備の連動性やパススピード、動き出しをもっと高める必要がある。厳しい相手と当たった場合、あるいは終盤に守り切る手段として、フランス戦の後半で実践した様な“堅守速攻”のプランも緊急用に温めているはず。

 しかし、ザッケローニ監督が押し進める基本のコンセプトを本大会仕様として実践するには、全体のバランスを維持しながらも、臨機応変に縮尺してボールサイドに厳しいプレッシャーをかけ、攻撃時は素早くボールを動かして崩しのタイミングを見極める精度を突き詰めたい。

 また、クロスに対するアタッカーの入り方など、特別に指示されなくても選手は基本戦術を理解しているが、さらにハイレベルの相手に対しては、ニア、センター、ファーの入り方をもっと選手間で共有して、相手と駆け引きしながら、タイミング良く合わせられる様にしていく必要がある。

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