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日本代表 11年前

未だ定まらぬザックジャパンの理想型。3-4-3復活の可能性も【ブラジルまでの果てなき航路】

text by 飯尾篤史 photo by Kenzaburo Matsuoka

 アジアカップが終わると、ほどなくして11年9月からW杯アジア3次予選が、その後すぐ、12年6月から最終予選が始まった。

アジア勢とホーム&アウェーを戦うのは、ザッケローニ監督にとって初めてのこと。しかも、代表監督を務めるのも初めてだから、W杯予選を戦った経験もない。そのため、4-2-3-1のシステムを継続し、選手の顔ぶれやポジションをほとんど変えず、慎重を期して戦ってきた。

つまり、現チームは、歴代のどの日本代表と比べても、監督のカラーがそれほど反映されていないと言えるだろう。

日本の武器である細かいパスワークを嫌う傾向も

とはいえ、忘れてはならないのは、アジアカップ前の10年12月末、11年5~9月、12年4月のわずかな期間に、ザッケローニ監督は代名詞と言われる3-4-3をレクチャーし、このシステムに対する並々ならぬこだわりと情熱を見せていることだ。

 本人は「オプションのひとつ」と控えめな姿勢を崩さなかったが、「3-4-3はどんなシステムにも対応できる」「3-4-3は最も攻撃的なシステムだ」「3-4-3は日本人に適している」といったコメントは、いずれ主戦システムとして考えているのではないか、と感じさせるほどだった。

 サイド攻撃や前線からのプレッシング、ショートカウンターに適したこの特殊なシステムは、特に3人いるサイドの選手――ウイング、サイドハーフ、サイドバックのポジショニングや約束事が複雑で、11年のペルー戦やチェコ戦、ベトナム戦などで試したものの、いずれも満足のいくレベルに達しなかった。

 12年4月、3-4-3を試した明治大との練習試合では、前半は型にはまって大苦戦。後半は臨機応変にウイングが中央に絞ったり、2ボランチが縦関係になったりして深みを持たせると、ボールが回って3-0で快勝したが、これに対して「ウイングが中に入るのが早い」「手数を掛けるな」と指揮官が苦言を呈し、選手たちは戸惑った。

 もっとも、こうした戦術面の細かな指導は、3-4-3に限ったことではない。4-2-3-1を採用している今も、要求は細かくなっている。

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