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連載コラム 11年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第1回・サッカー人生後編のキックオフ

VONDS市原監督就任の経緯

 最初にVONDS関係者からの接触があったのは昨年10月の中頃。

 2012年の現役引退後、浦和レッズハートフルクラブのコーチになり、小さな子供たちへのサッカーの指導にやりがいや手応えを少しずつ感じ始めていた時期だった。

「地域リーグのチームの監督に興味はあるか?」という単刀直入な質問を知り合いを介して聞かされた。サッカー界はものすごく狭く、また繋がっている世界なので、このようなケースは珍しくない。

 とはいえ、引退したばかりで指導者としての充分な実績もない自分にこのような話がくるのは、非常に幸運なことだと感じている。自分の実力がそれに見合っているかはさておき、このような人づてに回ってくる話には、その間に入る人の自分(西村)への評価、信用、期待といった、人からの印象が大きく影響を及ぼすことは間違いない。そういう意味で今回の話はとてもありがたいことだし、その期待に応えられるよう精進しなければいけないと強く思う。

 「印象」というのはこの世界で極めて大事なものだと改めて感じている。当然、指導者としての評価は選手時代の基準とはまた少し違った評価のされ方になる。

 現役選手はピッチでのパフォーマンスが第一であり、その結果がイコール自分への評価となる。コーチの評価のされ方はそんなにシンプルなものではなかった。子供からの評価、親からの評価、同僚からの評価、上司からの評価、雑務、情報処理能力、コミュニケーション能力等々、評価項目は多岐に渡った。

 選手のようにハットトリックをして次の日から評価が格段に上がるようなことはまずない。日々積み重ねていくものである、と実感する日々が続いた。会社員などをしている人からすれば至極当然のことかもしれないが、長くサッカー選手をやっていた者からすると、少なくとも自分はそこの評価項目の多さに最初はかなり戸惑ったことを思い出す。

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