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日本代表 11年前

本田が進化を続ける理由 ~藤田俊哉が回想するルーキー時代と人間像~(前編)

text by 元川悦子 photo by editorial staff

藤田や秋田が本田に話したこと

――とはいえ、名古屋時代は試合に出られない時期もありました。2005年ワールドユース(オランダ)でも挫折を味わったと思います。そんな時、藤田さんは彼にどんな話をしたんですか?

「あいつはとにかくいい選手になりたいと思っていたし、つねに先を見ていた。そのために何をすべきかもよく考えていた。先のビジョンを明確に持っているという意味では、18歳の選手にしてはかなり成熟していたと思う。

 でもあの頃はまだ若くて、ちょっと油断すると調子に乗るようなところがあったから、俺と秋田(豊=東京Vヘッドコーチ)さんの2人でよく茶化していた。圭佑自身も貪欲なやつだし、コミュニケーションも積極的に取る方だから、疑問があれば聞いていたよね。

 実際、秋田さんにはかなり厳しいことも言われていた。アキさんはプレーについてのダメ出しをストレートにする人だから。それも圭佑にとっては刺激的だったんじゃないかな。そういうのを嫌な顔をせず快く受け入れるのがあいつのよさ。年長者や同世代にかかわらず、周りに気を使うしね。

 俺はどっちかというと『プロはこうあるべき』みたいな話をよくしていた。『お互い一流を目指すためには一流に触れようぜ』とか『洋服を着るにしても、だらしなくしていたらダメだよな』とか。

 洋服や時計なんかも『ここで買った方がいいよ』なんてアドバイスもしたけど、それがいい刺激になったのかもしれない。今じゃ、本田が両手で時計をしたりするのがカリスマみたいに扱われているし、そういうのって、面白いよね」

――本田選手がオランダ移籍を決断するのも藤田さんの影響が多少なりともあったと思いますが、そのあたりはいかがですか?

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