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【データで読むチャンピオンズリーグ】追い込まれたスペイン勢。希望を打ち砕いた4失点目が持つ大きな意味

text by 植田路生 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

4失点目がなければ可能性は格段に違った

 バイエルン・ミュンヘン対バルセロナは、バイエルンのホームでの初戦を4-0で終えた。データ上は下から5番目[4-0]となるため、初戦をホームで迎えたチームの過去の成績は5勝0敗。当然とも言うべきか、この点差からの逆転のケースは過去にはない。

 残念だったのは最後のバルサの集中力が切れて、4点目を献上してしまったことだ。3-0であればまだ過去にも二度逆転したチームがある。2点差、3点差となった時点でリスクマネジメントをして次戦に備えていれば、逆転のためのプランの幅も広がったはずだ。

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レヴァンドフスキの活躍で4得点を挙げたドルトムント【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 ボルシア・ドルトムント対レアル・マドリーは、ドルトムントのホームでの初戦を4-1で終えた。過去の成績では5勝1敗。過去、この点差から勝ち抜けたケースは一度しかない。スーペルデポルと言われたデポルティーボ・ラ・コルーニャが2003-04シーズンのベスト8の対ACミラン戦、1-4で折り返した2ndレグを4-0とし、大逆転劇をしたときのみだ。

 この試合でも最後の1点が(マドリーの視点に立てば)余計だった。3-1であれば12戦のうち4回は勝ったデータがある。確率はグッと上がったわけだ。シャビ・アロンソのチャージがPKとなったのは厳しい判定だったとはいえ、マドリーの能力を考えれば未然に防ぐことも出来ただろう。

 2試合を通じて改めて思うのは、試合を“捨てる”ことの重要性だ。サッカーでは、どうしても上手くいかないゲームというのが出てくる。リスクを負って逆転を目指すことも時には必要だが、CLは2試合180分で勝負が決まる。後の祭りだが、残りの90分を考えて、必要以上の失点を防ぐことに注力するのも手ではあった。

 スペイン勢は窮地に追い込まれた。両クラブは最低でも4点が必要だ。だが、サッカーである以上可能性はゼロではない。スペインの両巨頭は死に物狂いで攻めるだろう。これまで王者然としていた2チームが遥か彼方に見える僅かな可能性を求めて“挑戦”する。それだけでも見応えがあるというものだ。

【了】

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