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奇跡ならずもモウリーニョは死なず。ドルトムントを追い詰めた超攻撃的3バックを徹底分析

text by 河治良幸 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

猛攻は実を結んだが…

モウリーニョ監督
モウリーニョ監督【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 そこでモウリーニョ監督は67分、中盤をオーガナイズしていたシャビ・アロンソを下げ、対人の強さと推進力に優れるケディラを投入した。

 フレッシュなドイツ代表MFが攻撃時には2列目の位置まで攻め上がり、それに応じてディ・マリアやエジルはワイドに流れる。

 そこに機を見てもう1人のボランチであるモドリッチも飛び出す。時には3バックを後方に残して7人でアタッキングサードを襲う、迫力ある攻撃でドルトムントの守備陣を押し込んだ。

 こうした攻撃が最初の得点として実ったのは82分。ロングボールを起点にカカがドリブルで突き進み、右で受けたエジルのショートクロスにベンゼマが合わせる鮮やかなゴールシーンだった。

 システムをうまく活かしたレアル・マドリーの猛攻が、ドルトムントのディフェンス・ラインを機能不全に陥らせた結果だ。

 さらに88分にCKのセカンドボールから、セルヒオ・ラモスが豪快に決めて、あと1点で合計スコアが逆転するところまで迫ったものの、最後の猛攻も及ばずに敗退となった。

 しかし、モウリーニョ監督にとってリスクチャレンジの象徴である“攻撃的3バック”は選手たちの勇敢なプレーによってドルトムントの脅威となり、試合を最後までスリリングなものにした。

 絶対的な不利の中で、最後まで“奇跡”にチャレンジしたレアル・マドリーのある種の達成感は、試合後に敵将のクロップ監督と固い握手をかわしたモウリーニョ監督の表情とスタンドの惜しみない拍手に表れていた。

【了】

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