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奇跡ならずもモウリーニョは死なず。ドルトムントを追い詰めた超攻撃的3バックを徹底分析

30日、チャンピオンズリーグのベスト4、レアル・マドリー対ボルシア・ドルトムントの一戦は2-0でマドリーが勝利したものの、合計スコアで上回ったドルトムントが決勝進出を決めた。一歩及ばなかったが、可能性を感じさせたモウリーニョの戦術とはいかなるものか? 徹底分析する。

text by 河治良幸 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

試合途中でのシステム変更。攻撃的3バックへ

 第1レグで4-1と敗れたレアル・マドリーにとって、少なくとも3-0の勝利が求められた試合だが、焦りからか決定機の精度を欠き、GKバイデンフェラーの好セーブにも阻まれる形で前半を0-0で終了。後半になるとドルトムントの堅守を前に攻め手をなかなか見出せなくなっていた。

 57分、レアル・マドリーのモウリーニョ監督は2枚のカードを切る。イグアインからベンゼマはFW同士の交替だが、左サイドバックのコエントランに替え、攻撃的MFのカカを投入したのだ。

 右からエッシェン、セルヒオ・ラモス、バランの3バック。ダブル・ボランチはシャビ・アロンソとモドリッチ、2列目にエジル、カカ、ディ・マリア、前線にベンゼマとクリスティアーノ・ロナウドを並べた[3-2-3-2]の形だ。

[3-2-3-2]
[3-2-3-2]

 モウリーニョ監督はチェルシーを率いていた当時から、3バックを試合終盤のオプションとして採用していた。そのシステムに関して彼は「ディフェンスから1人を削って、攻撃に1人を加える」と説明しており、イタリアなどでメイン・システムとして使われる3バックと異なる、パワープレー志向の強い3バックと言える。

 ただ、これまではFWを増やして[3-4-3]にする傾向があったが、カカを入れて[3-2-3-2]にしたことにドルトムント崩しの大きな意味がある。

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