2年連続“暫定監督”で欧州タイトル獲得 前代未聞の偉業の要因は“不安定な強さ”

2013年05月16日(Thu)10時59分配信

text by 植田路生 photo Kazhito Yamada / Kaz Photography
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熱しやすく冷めやすいクラブ

 今回のチェルシーの優勝は前代未聞の偉業と言える。ELはCLに出られないクラブのための大会だ。CLのグループステージを3位で敗退したクラブにも参加資格が与えられるが、昨季の欧州王者が決勝トーナメントに進出できないのは史上初(ベンフィカも敗退組。そういう意味では今大会はより“敗者復活戦”の様相が強かった)。

 アザールやオスカールなどビッグネームを獲得し、戦力を充実していたにもかかわらずELに回る。それだけチームは壊れていた。そこからモチベーションをもう一度上げ、チームを立て直したベニテス暫定監督に手腕には一定の評価を与えていいだろう。

 熱しやすく冷めやすいと言えばまだ聞こえがいいが、モウリーニョが去ってからチェルシーの戦いぶりはアンチェロッティ体制1年目を除き不安定そのもの。

 スコラーリによって崩壊した08-09は後任のヒディンクによって蘇り、FA杯を制覇。CLでもバルセロナをあと一歩まで追い詰めた。昨季はビラス・ボアスが革命に失敗したが、ディ・マッテオ暫定監督の下でチームは結束し、CLを制した。そしてそのディ・マッテオが解任された今季――。

 オーナーであるアブラモビッチの性格と同じく脆さを見せるが、いざ立ち直ったときの勝負強さには目を見張るものがある。こんな、いい意味でも堅実ではないクラブはヨーロッパ中を見渡してもなかなか見当たらない。

 暫定監督のベニテスは今季限りで退任し、来季はモウリーニョの復帰が有力視されている。過去、彼の政権下では不安定さとは無縁だった。スペシャルワンが再びロンドンに戻るなら、この“不安定な強さ”をどうコントロールするだろうか。

【了】

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