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変わりゆくJリーグとKリーグの関係性とライバルとしての今後の付き合い方

text by 吉崎エイジーニョ photo by Kenzaburo Matsuoka

増えてきた日本人Kリーガー

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増えてきた日本人Kリーガー(写真は家長昭博)【写真:松岡健三郎】

 この先、20年の関わり合いはどうなっていくだろうか。新しい軸は「日本人Kリーガー」の存在になっていくのではないか。09年に川崎Fからカンウォン(江原FC)に移籍した大橋正博を皮切りに「ゲームの作れる日本人MF」の需要が芽生えつつある。

 今季鹿島からウルサンに加わった増田誓志が、5月11日のKリーグ11節で決勝ゴールを決めた。相手が国内有数のビッグクラブ、スーウォンだったためにメディアでも大きく取り上げられた。

 スーウォン、ソウル、ウルサン、チョンブクといったビッグクラブでプレーする限りは、Jリーグと環境面での大差は存在しない。だが、近年ある地方クラブでプレーした日本人選手はこんな話をしていた。

「正直、ロングボールが行き交う中でのプレーは苦しいと感じる時がある。だけど、フィジカルが強くなることは間違いがない。いきなりトレイルランで山頂まで走ったりしますから」

 激しさ、強さの中でしっかりと自分の特長を表現できるのか。こういった経験がキャリアにプラスになる点が実証されていけば、日本人Kリーガーはより増えていくのではないか。韓国サイドもリアリティを持ち始めている。文化的に近い外国人選手を獲得するメリットがあることを。

 前出のウルサンのキム・ホゴン監督は、はっきりと「日本人MFが欲しい」という点を打ち出し、2012年に家長昭博を獲得。その流れから増田を迎え入れている。また近年は日本人のフィジカルコーチを迎え入れるクラブも増えている。

 お互い、ライバルはライバルとして存在し続けるべきだ。一方で、こちらも上手くそのリーグの存在を活用していきたい。

【了】

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