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変わりゆくJリーグとKリーグの関係性とライバルとしての今後の付き合い方

text by 吉崎エイジーニョ photo by Kenzaburo Matsuoka

意外と少ない、クラブに結果をもたらした韓国人選手

 そんなKリーグの現場は、Jリーグをどう見ているのか。昨年12月、クラブワールドカップに出場したウルサン(蔚山現代FC)を10日ほどじっくり取材した。その中で、近年の“韓国でのJリーグ観”の典型的な話が出てきた。

「日本のリーグの運営力、マーケットの力は認める。ピッチで展開しているサッカーも日本のほうが面白いかもしれない。でも試合では韓国が勝つ。私もつなぐサッカーをやってみたいが、現実的にいる選手で試合をしないといけないからロングボールを使ってきた」(キム・ホゴン監督)

 07年、08年のJリーグ勢のACL連覇に比べ、近年は韓国勢の優位が続く。この点については「Jリーグに超A級のブラジル人選手がいなくなった」という意見をよく聞く。

 一方で、リーグ運営で日本が先んじている点は韓国側もはっきりと認めるところだ。先日、筆者は韓国の専門誌の日本でのインタビューの通訳を務めた。取材対象はJリーグ理事。今年からKリーグで導入される1部2部入れ替え制について、Jリーグの前例を丹念に聞き込んでいた。記事のタイトルは「Jリーグに道を聞く」だった。

 そんな韓国とJリーグの20年間の関わり合いという観点で見ると、欠かせない要素が“コリアンJリーガー”だ。最大のものだろう。Jリーグの20年間で、じつに約160人の韓国人プレーヤーが在籍した。ブラジルに次ぐ外国籍プレーヤーとしての「第2勢力」。韓国でのJリーグへの関心も、これによりぐっと高まった。

 このうち、J1および天皇杯でタイトルを獲得したのは9人だ。

 ノ・ジョンユン(広島)=94年ファーストステージ、ホン・ミョンボ(柏)=99年ナビスコカップ、パク・チソン(京都)=天皇杯02年大会、ユ・サンチョル(横浜FM)=03年、04年Jリーグ、アン・ジョンファン(同)=04年Jリーグ、パク・ドンヒョク(柏)=2011年 Jリーグ、クォン・ハンジン(同)、ファン・ソッコ(広島)=2012年 Jリーグ、イ・デホン(同)。

 もちろん、すべてのJクラブが優勝を現実目標に置いているわけではない。サガン鳥栖で2011年のJ1昇格に貢献したキム・ミヌのような事例もある。ただ改めてデータを見ると「トップで優勝を狙う」という結果に限って言えば、意外と結果を出した人数は少ないのだ。

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