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Jリーグ 11年前

【FC東京・ビッグクラブへの指標】味スタがカンプ・ノウになる日は来るか?(後編)

text by 後藤勝 photo by Masaru Goto

2万6000人はクリアしなければならない数字

「まずは知ってもらう。一回目を二回目、三回目につなげていかないと、いきなり年間チケットにはつながりません。一回目の方を積み上げていくことでボトムが上がっていく。しかしただ広げればいいものではなく、マーケティングで的を絞り、クラブサポートメンバー2口で試合を観られることを喜んでくれる人々に向けて、必要な情報をタイムリーに発信していくことが大切です。効果を検証しながら募集をしないと、闇雲に営業をすることになってしまう」

 こう言うのは大金常務だ。今季FC東京は年間平均観客動員数を2万6000人にする目標を掲げている。

「一昨年の10年が2万5112人で、昨年が2万3955人。これを10年の数字に戻すだけでは成長にならない。右肩上がりの直線を描くのなら2万6000人にストレッチさせるべきで、選手が優勝を目指すのならスタッフもチャレンジしないといけないと思い、この目標値を設定しました。

 ですから、2万6000人はなんとしてもクリアしなければいけない数字です。クラブが内側から変わろうとしていることが感じられるようにしなければならない。2011VISIONは、結果からすると夢物語のようなものでした。大きな『夢』を掲げることは大切ですが、今は現実的な目標に向かって多少のストレッチをしながら、2015年が来たときに『FC東京は確実に変わった』と言っていただけることを目指していくべきだと考えています」

 阿久根社長も、この大金常務らビジネススタッフからの発案を歓迎している。

「今季、チームの目標は優勝だとはっきり言っています。3位でいいよと言っているチームに1位をとれるわけがない。きっと5位や8位に終わるでしょう。それと同等に、2万6000人にしようというのがビジネススタッフの目標。ピッチの内側と外側とは別ではない、クラブが一体となってやろうという決意です。森重(真人)も意を汲み、始動日の挨拶で『ビジネススタッフも高い目標を持ち、一緒にやるんだと社長も言ってくれた。僕らもがんばります』とファン、サポーターの前で宣言しました。

 こういったクラブとしての一体感を活かして、目標を実現させたい。10年が2万5112人だから、2万5000人では元に戻るだけ。そこにさらに1000人を上積みしないといけない。3期連続で赤字だとクラブライセンスが失効することとも関係しますが、単年度黒字の達成は今後の経営に不可欠。平均来場者が2万6000人ならば損益分岐点を十二分にクリアできるはず。今年の始まりにビジネススタッフがそのために何ができるかを一人ひとり宣言していますから、やるしかありません」

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