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Jリーグ 11年前

リーグ戦復調の王者・広島。ACLを“捨てた”森保監督のマネジメントは正しかったのか?(前編)

text by 澤山大輔 photo by Kenzaburo Matsuoka

左サイドに新たなオプションを加えたパク・ヒョンジン

 ACLを通じて成長した選手の1人目は、今季加入のDFパク・ヒョンジン(22歳)だ。開幕からベンチ入りを続けているが、リーグ戦で45分以上出場したのは第10節・大宮戦が初めて。

しかしACLでは、開幕戦のブニョドコル戦を除く5試合に先発出場。守備におけるポジショニングの悪さや判断ミスなどから失点の原因になるなど苦い経験をしながらも、着実に試合出場を積んだことで徐々に安定感を身につけつつある。

 本来のレギュラー・清水航平が負傷離脱中ではあるが、第11節の大分戦、第12節甲府戦、第13節湘南戦では経験豊富な山岸智を押しのけ3試合連続で先発。大分戦では、決勝点となる塩谷司のヘッドをアシストする見事な左クロスを供給した。

 甲府戦でも、相手に先制点を献上する原因となるマークミスを犯したものの、水本裕貴のミドルシュートをお膳立てするなど多くのチャンスを演出した。

 パクのストロングポイントは、「左サイドから、精度の高い左足クロスが放てる」ということ。左のタッチライン付近から左足クロスを上げるのと右足で上げるのとでは、相手DFの体勢が変わる。

 DFは左サイドからの左足クロスに対しては身体をタッチライン側に開かざるを得ず、ファーに入ってくる選手を視界に捉えきれない(右サイドからの右足クロスも同様)。身長の高い選手が少ない広島の前線には、ファーをうまく使えるこうしたクロスが有効だ。パクの成長が、広島に「左サイドからの左クロス」という新たなオプションを提供したのだ。

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