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Jリーグ 11年前

リーグ戦復調の王者・広島。ACLを“捨てた”森保監督のマネジメントは正しかったのか?(前編)

text by 澤山大輔 photo by Kenzaburo Matsuoka

攻撃の全権を任された野津田岳人

 3人目は、広島ユース出身の野津田岳人(のつだ・がくと、18歳)だ。2011年の高円宮杯U-18チャンピオンシップで広島を優勝に導き、MVPを獲得。昨シーズンから2種登録選手として5試合に出場、アウエー柏戦では石原直樹のゴールをアシストした。

 ピンと伸びた姿勢と高い技術から一部で「ヒデ二世」と報じられるなど、近い将来に主軸としての活躍が期待される逸材である。

 プロとして加入した今季は、高萩・石原の壁に苦しみベンチで出場機会を伺うことが多かった。しかしACLでは開幕戦以外の5試合に2シャドーの一角として先発フル出場し、プロ経験の少ない中でチームの攻撃を牽引する重責を任せられた。

 グループリーグ突破という結果に繋がらなかったのは前述のとおりだが、18歳の野津田にいわば攻撃の全権を任せたという事実は、広島がいかに彼に期待を掛けているかの表れだ。

 そして、野津田はリーグ戦でも徐々にその能力を見せ始めている。第4節の清水戦に途中出場し佐藤のゴールを誘発するシュートを放つと、第7節・磐田戦ではカウンターからドリブルで持ち込み石原の2点目をアシスト、そして12節甲府戦ではついにプロ初ゴールを記録した。

 ただ、リーグ戦での出場時間数は甲府戦までわずか72分に過ぎない。もしACLで450分もの出場時間数を与えられなければ、リーグ戦初ゴールまでの時間はもう少し掛かった可能性が高い。

【後編に続く】

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