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Jリーグ 11年前

リーグ戦復調の王者・広島。ACLを“捨てた”森保監督のマネジメントは正しかったのか?(前編)

text by 澤山大輔 photo by Kenzaburo Matsuoka

躍動する井波靖奈

 2人目は3年目の井波靖奈(いなみ・せな、20歳)。広島ユース時代は1トップを担当することが多かった井波だが、プロ入り後は佐藤寿人・李忠成ら経験豊富な選手たちの牙城に割って入ることができずなかなか出場機会を得られない。

 昨シーズン途中からは、ケガ人続出のため手薄になった右アウトサイドにコンバートされた。それでも、昨年の出場機会は第18節・川崎戦のわずか11分間のみである。

 しかし井波はACL・ブニョドコル戦のアウエー戦で先発出場すると、持ち前のスピードとアタッキングサードにおける思い切りの良さを見せて躍動。あわや得点かと思われたきわどいシュートを放つなど、自信にあふれたプレーを見せた。

 こうした部分を評価したのだろう、森保監督は第10節の首位・大宮戦で井波を途中投入。首位相手に1点リードされている局面で、今季リーグ戦初出場の若手を起用したのだ。森保監督が、いかに井波に期待しているかの現れだろう。

 そして、井波はただちにその期待に応えた。投入からわずか8分後、井波は右タッチラインに膨らみながら高萩洋次郎からのパスを呼び込んで相手SBのウラを取ると、ファーポストにシュート性の強烈なクロスボールを供給。

 滑りこんできた佐藤がそのボールを押し込んだ。元FWらしい、「ペナルティエリアで相手が何をしたら嫌がるか」を踏まえたプレーだった。

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