フットボールチャンネル

日本代表 11年前

“3-4-3”より重大な問題点。崩れつつあるザックジャパンの強化プラン

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

選手のテンションに水をさした“テスト”

「最初の練習で、『君たちはパス回しは世界でもうまいと思うけど、前に行く力と、シュートを打ってない』と言ってたんですよ」

 後半をベンチで見守り、珍しくザッケローニ監督の怒声を聞いたという内田はザッケローニ監督が就任した時に力説した言葉を引き合いに出し、後半に見られた問題点を指摘した。

 3-4-3そのものより、指揮官がオーストラリア戦を前にしたこの段階で、そうしたテストを行ったこと自体が、厳しい勝負に挑む選手のテンションに水をさしてしまった感はある。

「前に前に、攻撃をしていかないとね。でも自分が理解してるんだから、他の選手も頭では分かっているはず」と内田。このチームでは最も経験豊富な選手の1人である駒野も「技術よりはメンタルだと思うので、そういうところは気持ちもみんな持って行くと思うし、しっかりその方向で準備しいきたい」と気を引き締める。

 思い起こせば3カ月前、「今はW杯出場を突破することが第一。先のことはそれから」と語っていたヨルダン戦に敗れ、ザッケローニ監督が思い描いた“ラスト1年の強化プラン”がいきなり崩されてしまった。

 そして予選突破のタスクを残して迎えた“1カ月の強化期間”の導入に、3-4-3という本来、ザッケローニ監督が理想とするシステムのテストを持ってきたことは、戦術面よりチームマネージメントの問題を引き起こした感がある。

 しかし、そもそも代表チームというのは“強化と勝負”の二本柱を抱えながら、内容と結果を両立させなければならないのであり、監督のマネージメントだけに責任を負わせるべきではない。

 泣いても笑っても結果が求められる4日のオーストラリア戦で、日本を代表してピッチに立つ選手たちの意気込み、それを反映するパフォーマンスを目撃したいものだ。

【了】

関連リンク

EXFAサッカー応援Tシャツ
僕らがサッカーボーイズだった頃 プロサッカー選手のジュニア時代
フットボールサミット第10回 内田篤人が愛される理由。
フットボールサミット第8回 本田圭佑という哲学 世界のHONDAになる日
フットボールサミット第1回 ザックに未来を託すな。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top