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今日は静寂に包まれるのか? ヨルダン戦後、狂乱の渋谷スクランブル交差点を直撃レポート

text by 清義明 photo by Yoshiaki Sei

あちらこちらで「バモ! ニッポン」が聞こえる

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ハイタッチサポーターでにぎわう渋谷スクランブル交差点【写真:清義明】

 ハチ公側にも集まりはじめていた代表ユニの若者たちも呼応して交差点に大挙侵入。左右を固める鉄壁の警察の壁の中で騒然とハイタッチを始めたのである。交差点を渡り切ると、そのうち、おなじみ日本代表のコールがそこら中で歌われだす。そして、信号が青になるとまた突撃! そしてみんなで楽しくハイタッチ!

 交差点を渡り切ると反対側で代表チャントや選手コールをひとしきり歌い飛び跳ね、信号が変わるとまた突撃。えーっと、確か今日は負けているんですけど……いいんでしょうか、これ。集まったハイタッチ・サポーターの数は最終的に警備機動隊を超える数。これが歌いまくりで飛びまくり、そして何度でも信号が変わると交差点に突撃してハイタッチ!

 しかし、まあ、それにしても楽しそうである。

 さぞやこのアホなふるまいに腹を据えかねている人もいるだろうということで、通行する大人な方々にまずは話を聞いてみた。ところが予想外にみなさん、ニコニコしている。

「いいんじゃないですか、面白そうですよ。最近の若いのにくらべて元気だね」(42歳男性会社員)
「いいねえ、若者パワー。日本人も捨てたもんじゃないと思うよ(笑) 暴徒? 迷惑? そんな大げさなもんじゃない」(51歳男性会社員)

 良識ある人からは眉をひそめられているんじゃないかということをふってみても、「ここに来たらみんなきっと仲間に入りたくなりますよ」(30代女性OL) と皆さんあっさり肯定派。「平和的でいいじゃない」(31歳男性サラリーマン)という声すらも。

 30代前後と思しき仕事の出来そうなサラリーマン軍団は、このハイタッチの仲間に入りたそうな雰囲気アリアリで、バモ! ニッポンがあちらこちらで歌われている中で、この乱痴気騒ぎを眺めている。

「もう少し若ければこういうのに加わってみたかったですか?」と、そのひとりに聞いてみると、「いや、もう仲間がふたり先陣切って行きました」と苦笑い。もうひと組の新人サラリーマン組みも「今にも自分が行きたい気分(笑)」(24歳男性会社員)と笑っている。もちろんギャラリーのみなさんも試合結果は知っているようで、それでもニコニコなのである。「勝ったらもっとよかったのにねえ」そんな反応である。

 渋谷のど真ん中だけに外人さんのギャラリーもいる。ドイツ人という24歳の学生さんにも聞いてみる。

「すごいね。けれど、負けてこんなパーティーをやっているの日本だけだよ」とあきれ顔を見せながらも、面白そうに交差点の行ったり来たりを仲間の外人と眺めている。カナダから来ているという20代の女性は「サッカーでこんなに日本が盛り上がっているなんて知らなかった」と言いながら「クレイジーで面白い」と興奮しながら語ってくれた。

【次ページ】群衆の実態は大学生
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