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イタリア戦で痛恨のミス。敗因を“吉田麻也”にするべき理由

text by 北健一郎 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

吉田が選択したプレーに理解はできるが……

 特に2失点目につながった吉田麻也がゴールキックにしようとして入れ替わられたミスは、外国のメディアだったら今よりもっと集中砲火を浴びるだろう。何でもないシーンを判断ミスで決定的なピンチにしてしまった吉田の責任は重たい。

吉田麻也
試合後の吉田の表情やコメントは敗因を1人で背負い込んでいるかのようなものだった【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 サッカーの勝敗がワンプレーだけで決まるわけではない。だが、このように拮抗した試合においては、ワンプレーで流れが変わることが起こる。吉田のミスこそが勝てる試合を落としてしまった直接的な敗因だったと言っていい。

 吉田があの場面で、あのようなプレーを選んだ意図もわかる。ゴールキックにすることでイタリアに二次攻撃をさせないようにし、コーナーキックになるリスクも避けようとしたのだろう。

 だが、背後にいたのが吉田よりもスピードで上回るジャッケリーニだったことや、ゴールラインまでそれなりに距離があったことを考えれば、とりあえずボールを「切る」べきだった。

 1人の選手の、一つの軽率なプレーで日本がイタリアに勝つチャンスを逃したこと。ここから目をそらしてしまってはいけない。大事な試合でミスをした吉田がワールドカップで同じようなことを繰り返さないとは言えない。

「これだけチームに迷惑をかけたので財産にしないわけにはいかない」

 吉田の表情やコメントは敗因を1人で背負い込んでいるかのようなものだった。内田は「麻也だけの責任じゃない」とかばう発言をしたが、僕はこの試合に関しては「吉田のせい」にしてもいいと思うし、するべきだと思う。

 そのことがワールドカップで同じような試合になったときに、「勝つ」ことにつながると思うから。

【了】

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