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ブラジル戦で攻守に不安を残したイタリア。無視できない“ピルロ依存”

ブラジルに2-4と敗れたイタリア。ピルロを欠いていたこともあるが、イタリアが不安定だったのは事実。準決勝に向けてアズーリが抱える不安要素とは何か?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「我われはその分守備を頑張らなければ」スコラーリ

 ブラジル、イタリアともに1位通過を決め、日本戦の消耗の激しさからイタリアは5人スタメンを入れ替えていた。4-2は、事実上の消化試合と化した上での結果である。こういった場合、伝統的に両国の一戦はスコアの出入りが激しく、ややもすれば大味な試合結果に終わることがままある。

「僕たちが4点も取れたこと? まあイタリアとの対戦ではこうなることが結構多いからね」と、チアゴ・シウバはイタリア人記者に対し、こう答えていた。力関係を正しく反映したものではない、という意味か。

 とはいえそんな試合でも、両国の特徴とチーム状態はよく現れていた。出場停止のパウリーニョを除き、ベストメンバーで臨んだブラジルは試合開始からアクセル全開、選手個々の技術もさることながら、手を抜かないハイプレスもまた凄い。

 この辺りは、スコラーリ監督のこだわりがよく見えるところでもある。試合前日の会見で、「イタリアも攻撃的なサッカーをするようになったが、これは世界全体の流れでしょうか?」と地元記者に質問されると、「いや、我われはその分守備を頑張らなければならない。その上で個人技が活かされれば、チームはもっと強くなるのだよ」と強調していた。

 そしてネイマールは、真っ黄色に染まったアレーナ・フォンチノーバの観客を前にタレント性を発揮。トラップから次のプレーの移行が極めて早く、またFKは精度、スピードともに申し分なし。

 その直前、ファウルをゲットしたプレーではダイブ気味に倒れ、キエッリーニからは「彼は格の高い選手で、またずる賢い」と皮肉られていたが、勝負どころを見逃さない狡猾さはサッカーにおいて見習うべき点でもある。

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