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ザック流3-4-3成功のヒントはアズーリにあり。イタリアの3バックはなぜスペイン戦で機能したのか?

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

ザックの3-4-3とは違うが参考にすべき点はある

 イタリア代表の3バックはザッケローニ監督の[3-4-3]と同じではないが、参考にするべきはしっかりとした目的を持って使用するということだ。普段は4バックだが、中央志向の極めて強いスペインの傾向、[ボール支配率]が高くなくてもサイドで決定的なスペースを得られる特徴、プランデッリ監督はそれらを総合的に判断して3バックを選択し、選手にも明確な目的を説明したはずだ。

 ザッケローニ監督が就任した当初、[3-4-3]を基本システムとすることも予想されたが、[4-2-3-1]を選択して定着させた。その一方でタイミングを見ながら[3-4-3]を練習や親善試合でテストしたが、ベースを植え付けるのに時間がかかり、いつどういう時に用いるかもはっきり表されていないのが現状だ。

 もちろん[3-4-3]はサイドで数的優位を作りやすいメリットがあることは誰が見ても分かるが、「試合や状況に応じて使い分けられる様にしたい」と語る以上、そこに対戦相手が存在する。残り1年をきったところで[4-2-3-1]を捨て去って[3-4-3]に変更することは現実的ではない。

「3-4-3は攻撃的なシステムと監督は言っている」と長谷部は語っていた。イメージとして、選手たちに攻撃のオプションという認識はある様子だが、どういう相手にどう活かしていくのかまで浸透しているとは思いがたい。オプションを用いる目的をしっかり選手に植え付けてこそ、実戦を想定しながら機能性を高めることができるはずだ。

【了】

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