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Jリーグ 11年前

サッカーファンの93%が2ステージ制に反対。Jリーグに求められるファンと正面から向き合う姿勢

text by 植田路生 photo by Kenzaburo Matsuoka

2ステージ制は論点にすべきなのか?

 さて、懸案の2ステージ制である。全177票のうち165票が2ステージ制への反対意見。かなりの反発がある。

 印象的だったのは「サポーターへの説明が不十分」「ファンがないがしろにされている」というものだ。しかもかなり多い。試合会場でも反対の横断幕を出されたところを見ると、すんなりと同意を得られるのは難しいだろう。

 2ステージ制に関する報道は連日のようにある。だが、『サッカー批評』でも取材を続けてきた身としては少し違和感を覚える。果たして論点は「2ステージ制」なのか、と。

 Jリーグは記者会見で「地上波を含めたメディアへの露出増加」の必要性を説明している。そのためのポストシーズンであり、2ステージ制は1つの手段でしかない。カンファレンス制(NBAなどのようにいくつかの地域に分けるもの)やスプリット制(例えばベルギーのように上位チームだけで別途リーグ戦を行って優勝を決めるもの)も案としてはある。

 ではなぜ2ステージ制だけ一人歩きしてしまったのか。考えられる点は2つ。1つはメディアが先走りしてしまったこと。「2ステージ」というのはキャッチーな用語だ。過去にJリーグがこの方式だったことからイメージもしやすい。“手段”の1つを“目的”であるように報道してしまったのではないか(もちろんすべての報道がそうではないが)。

 もう1つは情報の出し方の問題。骨子が決まらず案の段階で報道陣に情報が漏れてしまった。これでは「2ステージありき」と捉えてしまうサッカーファンがいても不思議ではない。

 現状の18チームのままでいいのか、降格チームはどう決めるのか、本当に観客動員増につながるのか(序盤のわずかなつまずきでステージ優勝の可能性がなくなればそのクラブの観客動員は減るだろう)、など不明瞭な点が多い中で情報を小出しにした(出す意図はなかったかもしれないが)のは得策ではなかった。

 7月の合同委員会で、Jリーグは改革案の結論を先送りすることを決定した。これが議論を続けてきた結果なのか、それともファンの反応を見て決めたことなのか。後者であれば一連の断片的な報道のされ方も納得できるが、だとすればファンと正面から向き合っていないも同然だ。

 そうでないことを切に願う。近々Jリーグはインタビューに応じてくれる予定だ。Jリーグの真意を明らかにしたい。

【了】

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