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日本代表 11年前

東アジアカップ・中国戦で2-0と完勝。早くも形になって現れた、なでしこジャパンが目指す攻撃の形

text by 馬見新拓郎 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

佐々木監督の思いきった決断の理由

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前半途中で安藤を交代させた佐々木監督【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 しかし、佐々木監督はその直後に思い切った決断をする。

「10分くらい経った時から、安藤の走り方のバランスが気になっていた。交代させないでプレーを続けさせるという選択肢もあったが、怪我をしそうだなと思ったので、交代させた」と指揮官が説明した早めの選手交代によって、得点を挙げた直後の安藤に代えて、中島依美(INAC神戸レオネッサ)が投入された。

 すると、その中島が佐々木監督の期待に見事に応える。

 57分、ボランチの宮間あや(岡山湯郷Belle)から最前線の大儀見にボールが入ると、大儀見が得意のボールキープを見せ、空いたスペースに走り込んできた中島に優しくパス。中島は少しタイミングをずらして左足を振り抜くと、これが鮮やかにゴールネットを揺らし、中島にとっての代表初得点が生まれたのだった。

「中島は右足でも左足でもシュートセンスがある選手。いいタイミングでボールを受けてゴールを決めてくれた。もし中島があれを決められなかったら、安藤(を代えないまま)の方がよかったんじゃないかと思われるところでしょうけど(笑)」

 試合後の記者会見場を沸かせた佐々木監督も、早い時間に投入した中島の得点には胸を撫で下ろしたのかもしれない。

 この中島の得点は、なでしこジャパンにとって、ただの1点以上に大きな意味をもたらす得点の形だったと言える。今年、なでしこジャパンが取り組んできた『縦に速い攻撃』の成功例とも言うべき得点の形が、これだった。

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