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清水復帰が濃厚。大前元紀はなぜドイツで成功出来なかったのか?

text by 本田千尋

改善されなかった連係面

 モナコ戦後に大前は「周囲との連係の改善」を、開幕までの課題として口にした。モナコ戦では後半から途中出場した大前だが、周りの選手と上手く噛み合わず、大前へのパスがずれるというシーンが何度かあった。また連係ミスから左サイドを突かれ、相手FWのファルカオにシュートまで持っていかれる、という危ない場面もあった。

 指揮官とすれば、まず攻守において安定したボリーを先発に据えた、ということなのだろう。そしてボリーと後半途中に交代したイオアニス・ギアニオタスは、能力的には劣るものの、連係面では特に問題を見せなかった。

 1-0で試合は終了し、デュッセルドルフは幸先の良いスタートを切った。

 そして迎えた第2戦、犬猿の仲であるケルンとのダービーマッチで、またも大前はベンチ外だった。

 今シーズンより新たにデュッセルドルフの指揮官として就任したマイク・ビュスケンスは、攻守に連動する好チームを造り上げてきた。ディフェンス時には、4-4-2の奇麗な3ラインを作り、コンパクトに陣形を整える。

 オフェンス時には、ダブル・ボランチの一角を担うアダム・ボジェックがディフェンスラインに吸収される形となり、両サイドバックを押し上げ攻撃へと促していた。

 まだ2戦を終えた段階だが、デュッセルドルフというチームにこれといった隙は見当たらない。このまま好調を維持していけば、終盤戦に昇格争いに食い込んでいるのは間違いなさそうだ。

 しかしそのチームの好状態は、そのまま大前にとっての苦境を意味していた。ケルン戦、初戦に引き続き右サイドで先発したボリーは91分間出場し、攻と守と縦横無尽に駆け巡った。1-1のドローで激闘は終わった。

 大前について、惜しむらくは、シーズン前のキャンプ時に周囲との連係を確立出来なかったのだろうか、ということだ。開幕まで約1週間前のテストマッチで課題が露呈するのは、やはり如何なものか。ちょっとした修正であれば、約1週間という短時間で可能だったかもしれない。しかし、連係という大前提を約1週間で修正するのは難しい。

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