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清水復帰が濃厚。大前元紀はなぜドイツで成功出来なかったのか?

text by 本田千尋

チームメイトからは好感は持たれているが…

 移籍加入後、1部で苦戦を強いられ2部に降格したというチーム状況は、大前からすれば不運かもしれない。しかし、同時期の加入、同ポジションのボリーはキッチリ開幕に合わせ、ベストパフォーマンスを見せている。

 モナコ戦の前日のシーズンオープンデーで、少し気になるシーンがあった。メンバー紹介で、チームメイトとともにファンを前にして壇上に立った大前だが、一言も発する事なくステージを降りてしまった。

 司会者に話を振られなかった、ということもあるが、簡単でもいいので進んで挨拶をする、というちょっとした積極性があっても良かったかもしれない。

 もちろん大前とチームメイトとの間に不仲があった、という訳ではない。練習場では、共にランニングをするチームメイトと談笑する姿が見られたし、「ゲンキ!ゲンキ!」と周囲の大前を呼ぶ威勢の良い声が響き渡っていた。その人柄は、好感を持たれているようだった。

 実力面で言えば、開幕後の2戦を見たところでは、ボリーの控えとしてベンチ入りしたギアニオタスとは同等、といったところだった。

 そういった意味では、やはりキャンプが全てだったのだ。もう少し積極性があれば、キャンプ終了時に周囲との連係を確立することが出来ていたかもしれない。そうすれば、開幕後もベンチ入りから活路を見出だせたはずだ。外国人が周囲との連係を確立する上で、それが全てとは言わないが、やはり積極性は重要なことだ。

 ドイツで過ごした時間は、サッカー選手として本当に貴重なものだったはず。この経験を糧としてほしい。この先、大きく前へ進むための。

【了】

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