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グアルディオラ新監督率いる新生・バイエルン。そのスタイルが故に生じる“付け入る隙”とは?

text by 河治良幸 photo by Ryota Harada

スタイルが故に生まれるリスキーな場面

 その理由は守備陣の攻撃参加の多さ、そしてボール奪取意識の高さだ。これらは攻撃的なスタイルを志向する上で、決してネガティブな要素ではない。ただし、2つが同時的に起こることで、失点のリスクは著しく大きくなるのだ。そのことを証明する場面が前半17分にあった。

 2得点目を決めて勢いに乗るバイエルンは左サイドのリベリを起点に、6人の選手がアタッキングサードに攻め込んだ。リベリの仕掛けは惜しくもペナルティエリア内で阻まれたが、相手DFのクリアボールを敵陣でセンターバックのダンテが拾い、前線のミュラーに縦パスを付けるとそのまま駆け上がり、リターンパスを受けたが、トラップが大きくなったところをアランゴに奪われてしまった。

 この時点で守備に参加できるのフィールドの選手はアンカーのシュバインシュタイガー、もう1枚のセンターバックであるボアテング、アラバとラームの左右サイドバックという4枚。カウンターに対応する人数は足りているが、常識的には素早くバランスを取って、相手の進行を遅らせるべきシチュエーションだ。

 しかし、ここでシュバインシュタイガーはアランゴとダンテの交錯でバイエルン側に飛んできたボールを無理に拾いに行き、先に追い付いたクルーゼの後方からスライディング。ボールには触ったものの、こぼれ球をラファエルに拾われ、アランゴ、ヘアマンと素早く自陣深くまで運ばれた。

 この間にミュラーが全力疾走で戻ったため、ゴール前の実質4対4の状況を何とかしのぎ、アランゴからゴール左でパスを受けたラファエルのシュート精度にも助けられた。その後も、似たシチュエーションは何度かあったが、相手により狙われると失点のリスクはさらに高くなりそうだ。

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