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Jリーグ 11年前

攻め切れずに引き分けたACLベスト8。逆転勝利へ向け柏が修正すべきこととは?

text by 鈴木潤 photo by Kenzaburo Matsuoka

不利な状況だがACLでのアウェイ全勝という有利なデータも

 79分にレアンドロに代えて澤昌克を投入し、澤がアルシャバブの1ボランチの周囲にできるスペースを巧み使いながら、裏への抜け出しや斜めへの動きで前線にアクセント変化を付け始めると、柏の攻撃には鋭さが生まれた。撹乱する動きができれば、アルシャバブの守備組織に穴を空けられることを十分印象付けた。

 要は組み合わせの問題だと思う。いくら調子が上がらないとはいえ、類稀な個の能力を持つレアンドロの存在は魅力であり、彼をピッチに置いておきたいという意図は分かる。

 ならば、足元で受けたがる選手ばかりを並べるのではなく、澤や、この日は出番がなかった田中順也といった運動量が多く、献身的なスタイルでアクセントをもたらせる選手を組み合わせて攻撃陣の特徴に変化を加える必要性があるのではないだろうか。

 今回のアルシャバブ戦では決定的なチャンスをほとんど作れなかった。ただ、決定的なチャンスを作れば、柏には工藤とレアンドロがいるだけに“決定力不足”が解消される可能性は高い。

 サイドを簡単に突破された守備陣の対応の仕方にも問題はあるにせよ、拙攻ゆえにボールを簡単に失い、途中からあれだけ攻撃を浴びた中で、むしろ近藤と鈴木大輔は強烈なアルシャバブのアタッカーを相手に、1対1の局面ではよく踏ん張ったというのが率直な感想である。

 1-1とホームで先勝できず、アドバンテージを握ってアウェイの第2戦を迎えられないのは残念だった。しかし第2戦でアルシャバブを下す突破口は、ラスト15分間の戦い方の中に見出した。リヤドでの第2戦まで柏に与えられた期間は約1ヵ月。“アウェイ全勝”を誇る柏が、浮き彫りになった課題を修正し、ベスト4進出へ挑戦する。

【了】

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