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酒井宏樹は日本代表SBの序列を覆せるか? シャルケ戦で見せたハノーファーでの進化に迫る

8月24日のブンデスリーガ第3節、ハノーファーはシャルケを2-1で下した。この試合、目立った活躍を見せたのが酒井宏樹。得意のオーバーラップで積極的に攻撃に絡んだ。ドイツ2年目で見せた進化とは?

text by 河治良幸 photo by Ryota Harada

オーバーラップで見せ場をつくった酒井

 ハノーファー96は内田篤人を筋肉の張りで欠くシャルケと対戦。シャルケが2人、ハノーファーも1人が退場となる乱戦の中、右サイドバックで先発した酒井宏樹は躍動的な攻撃参加と安定感のある守備で2-1の勝利に貢献した。

酒井宏樹
躍動的な攻撃参加と安定感のある守備でチームに貢献した酒井宏樹【写真:原田亮太】

[4-4-2]のシステムで臨んだハノーファー、そして酒井にとって優位な状況をもたらしたのは、15分の先制点とシャルケ側の退場だった。

 後方からのロングボールをFWソビエフが得意のヘッドで前方に落とすと、相棒のディウフがライン裏に飛び出し、エリア内でヘーベデスのファウルを誘う。これによりヘーベデスは退場し、フスティがPKを決めてハノーファーがリードを奪ったのだ。

 シャルケはスタートの[4-2-3-1]から10人の[4-4-1]になったが、ハノーファーのボールになれば中盤からボールを奪いに行った。左サイドのドラクスラーとフクスも、ボール保持者に対するプレッシャーを強めようと中に絞るため、その流れで酒井の前方が空き、オーバーラップしやすい状態になっていた。

 サイドにおける守備の負担も軽くなっており、後半30分に味方のフスティが退場するまで、ハノーファーの中でも数的優位の恩恵を受け、持ち前の推進力あるオーバーラップを繰り出しやすい時間が長かった。

 そうした事情を加味すれば、この日のパフォーマンスを手放しで賞賛するのは禁物かもしれない。しかし、酒井が同数の序盤から示した積極性、そして周囲の選手との連動性の高さは、チーム内での確かな成長と今後の飛躍への期待を表すものだ。

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