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デコが語るビッグイヤー獲得の舞台裏(後編)

1992年以降の14年間、バルセロナは優勝候補と目されながら、CLでビッグイヤーを獲得できずにいた。05-06シーズンに決勝まで駒を進め、巡ってきたビッグイヤー獲得のチャンス。“バルサの心臓”と呼ばれたデコの証言とともに大一番を振り返る。

text by 沢田啓明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Hiroaki Sawada

【前編はこちらから】 | 【欧州サッカー批評5】掲載

自信に裏打ちされた落ち着き

──後半の初めから、エジミウソンに代わってアンドレス・イニエスタが入ります。この交代は、チームにどのような変化をもたらしたのでしょうか?

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0-1で後半を迎えたが「動揺はなかった」とデコは語る【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

「イニエスタはエジミウソンと同じアンカーの位置に入ったけれど、彼が攻撃の起点となってパスを散らす役割を果たしたことで、チームの攻撃に厚みとバリエーションが加わった」

──さらに後半16分、ボランチのマルク・ファン・ボメルに代わってFWヘンリク・ラーションが投入されました。この交代による変化は?

「僕とイニエスタのダブル・ボランチとなり、ロナウジーニョが左サイド、ジュリが右サイドでエトーとラーションの2トップ。さらに攻撃的になった」

──後半、あなたやイニエスタが惜しいシュートを放ちますが、GKアルムニアに阻まれます。ロナウジーニョのFKも不発。逆に、警戒していたアーセナルのカウンターを浴び、後半18分にアレクサンドル・フレブ、22分にユングベリ、25分にアンリと立て続けに決定的なシュートを打たれます。

「あれは危なかったよ。あのうちのどれかでも決まっていたら、と思うとぞっとする。バルデスがチームを救ってくれた」

──そして、後半31分、ついにアーセナルの堅陣を破ります。イニエスタからの絶妙のスルーパスがラーションに入り、ラーションが左サイドを駆け抜けてきたエトーにそっと流す。エトーがトラップしてから、落ち着いてニアサイドを破りました。

「イニエスタの広い視野と技術、ラーションの状況判断、エトーの高い決定力が組み合わさって生まれた理想的な得点だった。あの時間帯ではもうアーセナルが1点を守り切ろうとしていたから、相手に与えたショックは大きかったと思う。逆に、僕たちは勢いづいた」

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