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Jリーグ 11年前

川崎はなぜ密集地帯を攻略できるのか? 広島戦に見る風間イズムの浸透

text by いしかわ ごう photo by Kenzaburo Matsuoka

「あのときは何も無かった。でも今は自信を持ってやっている」田中裕介

 試合後、「絶対に勝ちたかった」と中村憲剛は喜びを爆発させている。この夏場に苦戦した[3-4-2-1]で守りを固める相手を攻略して掴んだ勝利だったこと、そして昨年のリーグチャンピオンに勝ったという意味でも、とても大きい勝利だったからだ。

 なにより、チームとしての成長を示した白星でもあった。冒頭で触れたように、一年半前には同じ場所での同じ相手にまるで歯が立たずに完敗した相手に、自分たちのスタイルを出して納得の内容で勝ち切ったのだから。

 では、あの当時と比較して、チームの成長を選手はどう感じているのか。

 稲本潤一に聞いてみると、「去年の広島戦では、ディフェンスのことをほとんどやっていなかったし、自分もセンターバックで出ましたからね。あれ以来、やってないですし」と苦い記憶に触れながらも、「この結果はチームの成長の証だと思います。あれから1年経って、すごく組織的に戦えるようになった。今は自分の役割も明確になってきたし、監督のサッカーが浸透してきたチームになってきていると思う」と、自信をのぞかせていた。

 田中裕介もチームの成長に手応えを口にした。「あのときは何も無かった。でも今は自信を持ってやっている。過信じゃないが、自信を持ってやっている。それがいい方向に向かっているので、ここで気を抜かず、続けて勝っていきたい」

 順位は大宮を抜き、6位まで浮上。リーグ戦では2試合連続無失点試合と課題であった失点癖に改善され始めたことも明るい材料と言える。リーグナンバーワンの得点力があるだけに、「失点が少なければ優勝争いができる」と話す中村の言葉も嘘ではないだろう。

 残りは9試合。首位との勝ち点差は9にまで縮まった。

【了】

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