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香川真司 11年前

ユナイテッドのサポーターに聞く「KAGAWA」の評価

プレミアリーグで20試合出場6得点。サッカーの母国のサポーターが、香川に下した評価とはどのようなものなのか? 現地サポーター、メディア関係者の声に耳を傾けた。(翻訳:中島大輔)

text by ショーン・キャロル photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

【フットボールサミット第13回】掲載

若かりし日のポール・スコールズを見ているかのよう

 昨季、香川真司はマンチェスター・ユナイテッドの偉大なる監督として最後のシーズンを送ったアレックス・ファーガソンの下でプレーし、自身としては3シーズン連続のリーグ優勝を果たした。最近では、ドルトムント時代の監督であるユルゲン・クロップに「世界のベストプレイヤーのひとり」と形容されている。

 ユナイテッドの優勝パレードの映像やソーシャルメディアの写真を見ると、香川がピッチ外でもチームに溶け込んでいる様子が伝わってくる。

 では、ユナイテッドのファンは香川の移籍1年目をどう評価し、今後に何を期待しているのだろうか?

 多くの意見としては、概ね満足しているようだ。向こう数年間、セレッソ大阪で育った男が“赤い悪魔”のキープレイヤーになり得るという信用を、ファンは朧(おぼろ)げながらも得ることができた。

マンチェスターユナイテッド
ホームゲームでは、常時7万人以上の熱狂的なファンやサポーターを集めるマンチェスター・ユナイテッド【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 ブライトン出身で28歳のアルニ・ロクナーは、熱心なユナイテッドファンだ。オールド・トラフォードにおける香川の成長をしっかりと追いかけてきた。クラブが生んだ伝説的選手、今年限りで引退したポール・スコールズと共通点を感じたという。

「香川真司のバランス感覚、ボールコントロール、ボールを持ったときの落ち着きに、すぐに魅了された。若かりし日のポール・スコールズを見ているかのようだったよ」

 ロクナーが続ける。

「香川は幽霊のようだ。ポジショニングが傑出しており、誰も捕まえられないようなポジションに突然現れ、様々な位置からゴールを決めてきた。ここ数年間のユナイテッドのスタイルである、ワンタッチパスも多用している。時折、試合のテンポが香川にとって遅すぎるのではと感じることもある。彼はボールを受け、即座に離す。でも、他の選手はパスを受ける準備ができていない。香川を活かすために、試合のテンポが遅くなることもある。彼に機会を与え、チャンスを生み出させようとするんだ。それは、ワールドクラスの選手だけが持っている特性だ」

 ロクナーによる香川への称賛は、まだまだ終わらない。

「香川はめったにボールを失わない。中盤の誰よりボールに触り、自身とチームメイトに自信を示している。ユナイテッドの中盤において、タックルの成功割合が最も高かった選手でもある。総数こそ一番少なかったが、88%のタックルを成功させた。今季、ゴールとアシストを合わせて9つを記録し、中盤の選手で最も貢献度が高かった。ユナイテッドに加わって以来、最高のシーズンをすごしたマイケル・キャリックと比べても、本当に驚
かされる数字だ」

 今夏、クラブの背番号10が望み通りに移籍したとしても、ロクナーが悩まされることはないだろう。香川がスムーズにプレミアリーグへ適応したからだ。

「移籍1年目からチームに上手くフィットしたと思う。すべてが上手くいったわけではないものの、持てる能力の一部が確かに垣間見えた。香川が最もプレーしやすいポジションで起用すれば、チームのファースチョイスから揺るぎない存在になると思う。来季、ウェイン・ルーニーが移籍した場合、ロビン・ファン・ペルシーの下で起用するべきだ。左サイドでも最善を尽くしていたが、オランダ人ストライカーの後ろで派手に走り回る姿を見てみたい。ドルトムントで、ロベルト・レバンドフスキの下でプレーしていたときのようにね」

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