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序盤戦での出遅れ、ダービーも完敗だが――。マンU・モイーズ監督が現地メディアに支持されている理由

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

本領発揮はこれから?

 加えて、シティキャプテンのバンサン・コンパニに、「自分たちの方が勝利意欲で勝っていた気がする」と言われた敗戦内容が、ユナイテッドでもモイーズの魅力を引き出すとの見方がある。

 国内の識者たちが、一様に「トップレベルで指揮を執るべき」とモイーズを讃えたのは、ユナイテッドでの監督交代が明らかになる前の昨季3月。FAカップ準々決勝で、エバートンがウィガンに完敗(0-3)した4日後のことだった。

 敗戦後、「不屈の精神と執念に欠ける、受け入れ難いパフォーマンス」と自軍を酷評したモイーズは、続くリーグ戦で、気魄の勝利(2-0)を実現させたのだ。モイーズのチームが勝つべくして勝った相手は、奇しくもシティ。

 もしも、開幕5試合で7ポイント獲得のみという低調の裏に、絶対服従だったファーガソンという「鬼軍曹」が去ったことによる、選手たちの気の弛みがあるのだとすれば、許し難いはずのシティ戦での負け方が、モイーズの本性と本領を発揮させると考えられているのだ。

 長丁場のリーグは、まだ開幕から1カ月余りが経過したばかり。次節からは、11月10日のアーセナル戦まで、ウェストブロミッジに始まりフルアムで終わる、格下相手の5連戦という幸いもある。

 モイーズ率いるユナイテッドは、まだまだこれから。まずは新監督自身が、ユナイテッド指揮官として持てる力を発揮するまでに時間を要する。監督交代後初のマンチェスター・ダービーでは、その一般認識が改めて確認されたにすぎない。

【了】

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