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Jリーグ 11年前

惨敗だったが――。過密日程を「宿命」と言い切る高い志。柏がACLで得た大きな収穫

text by 鈴木潤 photo by Kenzaburo Matsuoka

乗り越えるべき“個の能力の差”

 栗澤僚一が言うように、ACLでは「Jリーグにはない特徴を持った国、チームと戦うことができる」。暴風雨のようなパワープレーを持つ全北、独特のテンポとしなやかさを兼備したアルシャバブ、そして個の能力に長けた広州など、その色は様々だった。

 グループリーグを通じて全12試合6チームと対戦し、近藤も「選手全員、経験値は格段に上がっていると思う」と話している。

 広州戦で突きつけられた“個の能力の差”は日本サッカーの永遠のテーマでもあり、柏にとっては2年前のFIFAクラブワールドカップで、ネイマールやガンソから付きつけられたサントス戦と非常に酷似している。

 だが、あの時は「相手がサントスだから」と別次元であっても仕方がないという気持ちが、どこかに生じていたのかもしれない。

 しかし、広州は同じアジアのクラブだ。彼らを越えない限り、柏はもとより、Jリーグ勢はアジアのタイトルを再び手中に収めることはできない。つまり、冒頭でも述べたように必ず越えなければならない壁でもある。

 個人の差というものは、そう簡単に埋められるものではないが、こういうことを肌で体感できたのは、柏がACLでベスト4まで勝ち進めたからであり、勝ち進めなければ分からなかったことだ。

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