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日本代表 11年前

徹底出来ていないスタイル。ザック、代表選手たちが語る「自分たちのサッカー」とは何か?

text by 北健一郎 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

狙い通りにボール奪取出来たのは一度だけ

 だからといって、前線の選手がボールに突っ込んでいったり、スライディングをしたりすることを求めているわけではない。

 日本の選手のフィジカル的な特徴を考えれば、大柄なヨーロッパの選手と同じような守り方をするのは無理があるし、複数で連動しながらボールを奪いに行くのが現実的だろう。ただ、もう一歩、二歩でもいいから相手との距離を詰めることはできるはず。

 セルビア戦で日本が狙い通りの形でボールを奪えたシーンは後半9分の1回のみ。前から連動してボールを奪いに行くことで、40秒間で3回もゴールに迫っている。こうしたシーンが1試合の中で何度も出てくるのが理想だ。

 そして、ザッケローニ監督にはトレーニングでもっと選手たちにボールを奪いに行く意識をしっかり植え付けてもらいたい。ザッケローニ監督のトレーニングは相手をつけない(あるいはプレスに来ない)戦術確認が多く、ボールを失った後の意識付けはあまり行われていない。非公開練習ではやっているのかもしれないが……。

 ザックジャパンは長くやっている選手がほとんどで、ビルドアップのパターンなどはほとんど染み付いており、同じことをやる必要ない。むしろマンネリ感の要因にもなりかねない。コンセプトが染み付いているからこそ、もっと攻守の切り替えにフォーカスしたトレーニングをやるべきだと思う。

 新しい選手を起用したり、交代を早くしたりすることは必要だ。ただ、それだけでチームが劇的に強くなることはありえない。改善すべきは、もっと本質的なところにある。

【了】

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