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日本代表 10年前

代表発表記者会見の質問と回答から読み解く。ザックは本当に「言い訳」していたのか

text by 川端暁彦 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

とげとげしい雰囲気で終わった記者会見

 また、結果については「過去、われわれが結果を求められた大会は4つあった。つまりアジア杯、W杯予選、東アジア杯、そしてコンフェデ杯だ。この中で勝つことができなかったのはコンフェデ杯だけではないか。この数試合のテストマッチで勝つのが、われわれの目標ではない」と反駁している。

「この遠征で当たるのは非常に強い対戦相手ばかりだが、戦い方やフォーメーションを相手に合わせて変える意向はあるのでしょうか」
「今回の遠征では1試合目、2試合目で変化を付けようといった考えはあるのでしょうか」

 そして、最後に出たこの二つの質問に対しては「微調整はあるが、自分たちのベースを崩すつもりはない」と断言。守備的布陣への変更などはないことを強調し、会見を終わらせた。記者と監督の双方に漂う、そこはかとない“とげとげしさ”。

 それがうまく緊張感につながればいいのだが、本番まであと1年もないという段階を思えば、ザッケローニ監督もこの空気感は変えておきたいところではある。一番まっすぐな方法論はオランダ、ベルギーを相手に勝利を飾ることであるが、そうそう簡単ではあるまい。せめて善戦したいというのが本音だろうか。

 ただ、あまりに過剰に親善試合での「結果」を煽る風潮は、強国とテストマッチを組みにくくもなるし、代表監督が実績のない選手の起用をためらう要因にもなりかねない。批判もあっていいと思うし、監督交代論もあっていいだろう。

 ただ、その理由を単なる親善試合の「結果」に求め過ぎるのは、いかがなものだろうか。もちろん、日本代表が常に勝利を希求すべきチームであることに異論はないが、すべての試合で結果が付いてくるほど甘い世界ではあるまい。

【了】

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