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代表 10年前

将来のバロンドール候補か。U-17W杯で輝きを放ったタレントたち

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

圧倒的だったイヘアナチョ

 それでいてアフリカのテクニシャンにありがちな、ボールを持つたびにプレーを止めてしまう“悪癖”もあまりない。自慢の左足を駆使したトリッキーなドリブルは最大の武器だが、オフ・ザ・ボールで相手の守備を引き付けておいて味方にワンタッチで通すパス、鋭い飛び出しからのエリア内でのフィニッシュ、低い弾道のミドルシュートなど、アタッキングサードでの引き出しが実に多い。

 今後が楽しみなのは、同世代の今大会を通してプレーに全く底を見せていないこと。ボールを失う場面はほとんどなく、フィニッシュにいたった場面でもいたらなかった場面でも、守備の逆を取る動きをしていた。

 これは想像の域を出ないが、同じ時期にU-20W杯が開かれていたら、そちらに出場しても十分に存在感を発揮できたのではないか。そう思わせるほど能力は抜きんでていた。

 ここから数々の重圧や誘惑が待ち受けているだろうが、順調にアフリカ、いや世界を代表するスーパースターへの階段を上っていってほしい。

◎レオナルド・スアレス(アルゼンチン)

 ベスト4に進出したアルゼンチンにおいて、出場時間は7試合でたったの99分。1得点しただけで大会を終えた。この数字だけを観るなら、現時点では注目に値しない選手と見なされても仕方ない。

 だが、アルゼンチン戦を現地で計4試合観て確信を持ったことがある。「この選手はメガクラックになる資質を備えている」ということ。登録では162cmとなっているが、体の線も細くU-17の選手としてもかなり小柄な部類に入る。

 しかし、正確な技術を明確なビジョン、的確なポジショニングで効果的なプレーに落とし込む様は、“96ジャパン”の吉武監督が語る“パーフェクトスキル!をそのまま表現していた。

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