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西野朗が監督視点で語る2ステージ制

最新号の『サッカー批評issue65』(双葉社)では「2ステージ+ポストシーズン制」について西野朗氏にインタビューを行っている。柏レイソル監督時代に年間最多勝ち点をあげながらチャンピオンシップに出場できず、またガンバ大阪監督時代に1ステージ制での優勝も経験している西野氏は、2ステージ制の導入でどういったことが起こると見ているのか。一部を抜粋して紹介する。

text by 戸塚啓 photo by Kenzaburo Matsuoka

【サッカー批評issue65】掲載

現場で携わってきた自分からすると賛成せざるを得ない

──2ステージ制の復活で危惧されるいくつかの点について、お聞きしたいと思います。まずは消化試合が増えるのでは、という疑問について。

西野朗が監督視点で語る2ステージ制
西野朗【写真:松岡健三郎】

「第1ステージで優勝の可能性がなくなり、なおかつJ2降格の危機もないといったチームの監督は、第2ステージを見据えた色々なトライができるし、実際にするだろうね。ただ……」

──ただ?

「残り3、4試合で優勝争いをしているチームと、降格を気にせずに第2ステージを見据えたチームの間で、モチベーションの差が大きくなる」

──それはつまり、消化試合が増える可能性を秘めているわけですよね。

「……(苦笑)。第1ステージで優勝争いに加われなかったチームは、いい意味でリセットできる。それは、現場から見た2ステージ制のメリットにあげられる。一方で、第1ステージ終盤から調子を上げていったチームは、そのままやりたいだろうね」

──でも、一度流れを断ち切られてしまう。西野さんが指摘するリーグ戦の本質と、ここでも乖離してしまいます。

「そのタイミングにピーキングが来るチームも、絶対にあるだろうから」

──痛みを抱えた主力選手には、無理をさせないといった処置も?

「第1ステージで優勝の可能性がなくなれば、そういう選手を無理に引っ張ったりはしないでしょう。個人的にはどうかなと思うところで、リーグ戦本来の戦い方からかけ離れるよね。様々な思惑が働く。1試合1試合の積み重ねで、優勝を争うことにはならない」

──即戦力が重用されるという指摘については?

「当然そうなっていくと思う。育てながら勝つという猶予は、与えられないだろうし。それこそ、ステージ優勝の望みが絶たれて、なおかつJ1残留も決まったら、経験を積ませる選手起用もできるけれど」

──水曜日開催が増えることは?

「水曜、土曜の日程が1か月続いたら、確かにキツい。リカバリーだけで修正の時間が確保できないから。でも、水曜開催が一週間おきぐらいなら問題ない。それぐらいのほうが僕はいい」

──お話を伺っていると、2ステージ制に消極的賛成というのが西野さんのお立場ですね。

「大局的には後退感が否めない。1シーズン制のなかで違う打開策はなかったのか、という思いはある。ここ数年のJ1は各チームの力が拮抗して、やっと面白くなってきたなあと感じていた。

 それなのに2ステージ制に分けてしまうのは……。ただ、現場に携わってきた自分からすると、賛成せざるを得ない。ビッグクラブと呼ばれるところでさえ、想像以上に厳しいんだ」


続きは『サッカー批評issue65』にて、お楽しみ下さい。

『サッカー批評issue65』
定価1200円

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