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本田圭佑 10年前

CSKAでは既に“浮いている”存在。王者バイエルンに本田圭佑が示した確かな存在感

text by 本田千尋 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography / Ryota Harada

本田のイメージに周囲が追いついていない

 欧州チャンピオンズリーグ13-14シーズン、グループD第5節、本田の所属するCSKAモスクワは、ホームにバイエルン・ミュンヘンを迎えることとなった。既にバイエルンのグループ突破と、CSKAの敗退は決まっている。

 第三者からすれば単なる消化試合とも言えるが、CSKA、本田からすれば、世界最強と戦うことの出来るまたとないチャンスとも言えた。

 凍てつくモスクワでのゲームでまず感じたのは、CSKAのCFムサが、バロテッリだったら、ということだ。雪の舞うピッチの上で、いい意味で本田はチームの中で浮いているように見えた。

 バイエルンという絶対的強者を相手にして、CSKAのチームメイトとは違うゲーム観、サッカー観を頭の中に描いているようだった。本田のイメージに、周囲が追いついていないのである。

 消化試合らしい雰囲気で始まった試合は、やはりと言うべきか、バイエルンペースで試合は進む。17分にはミュラーのお手本通りの左サイドの崩しから、ロッベンに先制ゴールを奪われてしまう。

 バイエルン優勢の中、本田はサイドや中央でボールをキープし、ボランチ、CBにボールを繋ぐなど、高いクオリティを示したが、その先へと繋がらない。45分、本田の意表を突くダイレクトプレーにムサが飛び出すが、ノイアーに阻まれてしまう。もしムサが、バロテッリだったら、また違った未来があったかもしれない。

 そして後半開始後の10分間で、本田はミランに加入したとしても十分やれることを証明した。46分、見事にバイエルンのディフェンス陣の裏を取って抜け出して、ノイアーとの1対1に持ち込んだ。シュートを撃っても良かったと思うが、味方の上がりを待って崩し切りたかったようにも見えた。

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