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本田圭佑 10年前

CSKAでは既に“浮いている”存在。王者バイエルンに本田圭佑が示した確かな存在感

text by 本田千尋 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography / Ryota Harada

モスクワのファンへ惜別のゴール

CSKAでは既に“浮いている”存在。王者バイエルンに本田圭佑が示した確かな存在感
本田はミランで何を成し遂げるだろうか【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 49分、右サイドからの折り返しを、ペナルティエリア深くに進入して合わせるも、上手くシュートを撃てず。50分、ラフィーニャからボールを奪い、ムサへラストパスを送る。52分、ムサの左からの折り返しを、エリアの外側からミドルシュートを放つ。世界最強を相手にして、本田は次々と攻撃を繰り出していく。

 そして60分のことだった。相手CBダンテのハンドから、CSKAはPKを獲得した。本田は迷うことなく、ボールを掴み、ペナルティスポットへと向かう。モスクワでのラストゲームで、本田は、世界王者を相手に、冷静にボールを左に流し込んだ。

 後半は進むにつれて消化試合とは思えないほど白熱したものとなった。漸くトシッチやナバブキンらが本田のイメージに呼応し始めたのか、バイエルンのゴールを脅かしていく。79分、トシッチのシュートがクロスバーを直撃する。

 CSKAは残念ながら、55分、ゲッツェにカリスマの一撃を、65分、ミュラーにまるで本田のゴールを真似たかのようなPKを決められ、1-3のスコアで敗北を喫する。その中にあって本田圭佑は、PKではあったがゴールという形とともに、再び3冠へと突き進む王者に対して、確かな存在を示した。

 しかしミランも現在セリエAで13位と、中田英寿がACペルージャで道を切り拓き、ASローマで奮闘したあの頃を思えば信じられない順位にいる。それでもミランが、イタリア、そして欧州屈指の名門であることに変わりはない。

 そしてミランには、本田のサッカー観に呼応することの出来る、比較的クオリティの高い選手たちがいる。本田はミランで何を成し遂げるだろうか。そして名門をあの頃の姿へと再び引き上げることが出来るだろうか。

 赤と黒の派手なユニフォームは、本田と彼の新たな未来に、実に良く似合う。

【了】

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