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パス本数下回るも走力で圧倒したシュトゥットガルト。酒井高徳はなぜ酒井宏樹より1.5キロも多く走れたのか?

text by 河治良幸 photo by Ryota Harada

酒井高徳が酒井宏樹より走れた理由

 800メートルの差は攻守の局面にかけられた人数の違いが集積されていった結果だ。もちろんハノーファーが走行距離の差を埋める効率性や正確性を出せれば結果はまた違ったものになっていたはずだが、中盤ではパスを回しても仕掛けに行く起点のところでミスパスが起こり、酒井宏樹もいつも以上に敵陣まで進出するタイミングを見出せなかった。

 実際に酒井高徳は11.6kmを記録し、酒井宏樹は同じ90分間で10.1km。酒井高徳の方が1.5kmも多く走ったことになる。酒井高徳は献身的に守備をこなしながらも、ハルニクやライトナーを起点にどんどん上がって攻撃に絡んだ。

 クロスは2本だが、それ以上に攻撃の厚みを付ける役割を果たしたと言える。一方で酒井宏樹は中盤が相手の厳しいプレッシャーにさらされる中、シュミーデバッハを追い越して高い位置で起点になることができず、得意のクロスもゼロに終わった。

 サイドバックは現在のサッカーにおいて非常に重要度を増しているポジションだが、流れに乗れなければどんなに高い能力も“宝の持ち腐れ”になってしまう。今回は試合結果と同様に酒井高徳がパフォーマンスでも上回ったが、走行距離やクロスはチームのパフォーマンスに左右される部分が大きいことは強調したい。

【了】

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