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パス本数下回るも走力で圧倒したシュトゥットガルト。酒井高徳はなぜ酒井宏樹より1.5キロも多く走れたのか?

text by 河治良幸 photo by Ryota Harada

ポイントは攻守の切り替え時における人数のかけ方

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走行距離で相手を凌駕した酒井高徳【写真:原田亮太】

 重要なのはどういった理由で走行距離に差が出たのか、その違いをシュトゥットガルトがどれだけ活かしていたかだ。闘将のシュナイダー監督が率いるシュトゥットガルトはブンデスリーガの中でも特にハードワークするチームとして知られるが、直接対決でこれだけ相手を上回るのには明確な理由がある。

 ボールを奪ったら縦に素早く進出するスタイルだが、短い時間で一気に全体を押し上げ、そこからサイドバックの酒井高徳などが積極的に飛び出す場面が多い。シュトゥットガルトは[4-4-2]の布陣だが、チャンスの時点ではアタッキングサードに5~6人が入って来ているのだ。

 象徴的だったのが前半33分の2点目。ハルニクの右からのクロスにイビセビッチが合わせた力強いゴールだが、シンプルな展開から生じたチャンスにおいて6人の選手がアタッキングサードまで進出していた。それに対してハノーファーの守備は6人。ゴール前の局面において6対6の状況が出来ていたわけだ。

 後半7分の得点場面でも自陣からのカウンターで5人の選手がアタッキングサードに走り込んだ。ハノーファーは決められた瞬間に6人となったものの、2人は遅れ気味に戻ってきており、瞬間的に酒井宏樹を含めた4人が5人に対峙する形となっていたのだ。こうした攻守の切り替わりにおいてシュトゥットガルトは躊躇なく人数をかけたのだ。

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