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新監督の下、どん底から這い上がったクロアチア。W杯で再び旋風を巻き起こすことが出来るか?

text by 長束恭行 photo by Yasuyuki Nagatsuka

高い水準が集まった選手層。唯一の不安はDFラインか

新監督の下、どん底から這い上がったクロアチア。W杯で再び旋風を巻き起こすことが出来るか?
クロアチア基本フォーメーション

「クロアチア・サッカー界を救った男」――そう国内メディアが讃えるコヴァチ監督は、謙虚にブラジルを見つめている。大口を叩くことで、困難な状況を自ら招くようなクロアチア気質を彼は持ち合わせていない。

「最初の課題はチームを安定させることだ。それからプレー面でオートマティズムを構築する。浮き沈みはあるだろうが、じっくりと突き詰めていきたいね」

 エースストライカーのマンジュキッチ(バイエルン)は開幕戦となるブラジル戦欠場が強いられるものの、攻撃陣の層は高い水準にある。オリッチ(ヴォルフスブルク)やエドゥアルド(シャフタール・ドネツク)は計算できる実力派FWだし、中盤を構成するモドリッチ(レアル・マドリッド)、ラキティッチ(セビージャ)、コヴァチッチ(インテル)のトライアングルは、黄金時代の「ボバン-プロシネチュキ-アサノヴィッチ」のそれを彷彿とさせる。俊足ウィンガーを欲するコヴァチ監督にとって、20歳のレビッチ(フィオレンティーナ)という新星も現れた。

 不安を挙げるのならば、タレント不足の最終ラインだ。チョルルカ(ロコモティフ・モスクワ)とコンビを組む35歳のベテランCBシムニッチ(ディナモ・ザグレブ)は、アイスランド戦後に場内マイクを掴み、民族主義的なスローガンを叫んだためにFIFAから10試合の出場停止処分が言い渡され、W杯出場は絶望。

 長年の懸案である左SBには15ヵ月ぶりにプラニッチ(パナシナイコス)が復帰したものの、専門職じゃないだけに今だ心もとない。移籍先のサウサンプトンで吉田からレギュラーを奪ったCBロヴレンが覚醒したことは好材料だが、クロアチアはこれまで彼の凡ミスに何度も泣かされてきた。もし日本が対戦するならば、モドリッチとラキティッチでは守り切れないバイタルエリアにロヴレンを釣り出し、その裏を突くのが有効だろう。

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