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長友佑都 10年前

ミラノダービーでインテルを勝利に導いた長友。キャプテンを託されたことが意味することとは?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

前半は慎重なポジショニング。それにはワケが

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【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 前半はおとなしめだった。前線へ攻め上がり、右足のアウトサイドでパラシオへパスを送った3分のプレー、またタイデルのアーリークロスに反応し、ファーから走り込んでヘッドで合わせた24分のシュート、また28分のミドルと攻撃に絡んだシーンはそれなりにあったものの、攻め上がる回数はいつもよりも少なかった。

 原因は二つある。まずは警告累積で出場停止となったアルバレスの不在だ。普段なら彼が前方のスペースに飛び出し、ボールをキープしてくれることで“タメ”が出来る。しかしこの日はそれがない。しかもパラシオもミランのCB陣に囲まれ孤立していたため、ボールが縦へと行かず、長友がフォローに走り込む前提自体が出来ていなかった。

 もう一つは、ミランの守備だ。「リーグ最多の得点を取っているインテルの得点源はパラシオだけではない。グアリンや両WBも要警戒」とアレグリ監督は語っていたが、その通りにサイドはまずボランチのポーリがプレスを掛けてフタをし、後方のスペースもSBのデ・シリオが閉じる。前半、この二人は特に精力的に動いてきたため、長友も引き気味のポジションを取らざるを得なくなった。

 しかし長友が慎重なポジションを取る時、後半に向けての駆け引きが彼の中で始まっている場合がある。この試合でもそうだった。

「相手は90分間持たないと思っていた。確実に彼(デ・シリオ)より走れる自信はあったから、走力で勝負しようと思った」という言葉通り、後半は完全にギアを入れ替え、対面のサイドを押し込んだ。

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