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長友佑都 10年前

ミラノダービーでインテルを勝利に導いた長友。キャプテンを託されたことが意味することとは?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

決勝点を生んだ、長友の布石

 後半13分、前線に攻め上がったのちに、ヘッドで縦パスをそらしパラシオへパス。15分にはデ・シリオをターンで交わしてクロスを上げる。21分には中に切り込んだ後にミドル。

 それらのフィニッシュワークは全てが正確なものとは言えなかったが、『量』を繰り出したことは着実にミランの脅威となっていた。特にミラン選手全体の足が止まった30分以降、デ・シリオはもちろんのこと、途中出場したコバチッチのチェックにも忙殺されるポーリもまとめて料理していた印象だった。

 そしてインテルの決勝点は、そんな布石のもとに成り立った。左サイドを集中して畳み掛けられたことで、ミランはこのサイドに寄せられる。その頃には、逆サイドの守備は極めてルーズに。ドリブルで中へと切り込んだ長友は逆サイドでフリーになっていたジョナタンへと展開し、そこからグアリンを経由して、パラシオのゴールへと繋がっていった。

 パスやドリブルでボールを回すことと同時に、サッカーというスポーツにおいては走ることもプレーの重要な根幹をなすものである。守備をこなしつつ、攻撃にも頻繁に顔を出し、サイドで相手を追い込んで行く長友の走力は、もはやインテルの重要な武器であり生命線だ。キャプテンマークが回ってきたことは、その重要性が認められていることの証でもある。

「私の好きな選手で、チームにとっても非常に重要。今日は後半素晴らしいプレーをしてくれたが、フィニッシュワークで落ち着けるようになれば、もっといい試合になったはずだ」

 試合の会見でマッツァーリ監督は長友を称えつつ、さらに注文をつけた。無難なほめ言葉に終わらなかったことが、期待の大きさを逆に示す。来年以降の成長が、さらに楽しみだ。

【了】

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