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かつての“未開の地”が挑む“サッカー大国”への道。クリンスマン監督はW杯でアメリカを躍進させることができるか?

かつては選手としてだけでなく監督としてもドイツ代表を牽引したクリンスマン。その英雄がアメリカ代表監督としてW杯に帰ってくる。自国開催の94年大会以降、コンスタントに成績を残してきたアメリカ。かつての“サッカー未開の地”はブラジルW杯で“サッカー大国”になるために、大いなる挑戦を仕掛ける。

text by 池田敏明

ドイツの英雄、クリンスマンを監督として招聘

 かつてドイツにアメリカ流のトレーニングメソッドや競争原理を持ち込み、一大改革を巻き起こした男が今、アメリカをサッカー大国にするための戦いに挑んでいる。2011年から指揮を執るドイツ人のユルゲン・クリンスマン監督が、アメリカ代表を変革させようとしているのだ。

 元々、アメリカはボブ・ブラッドリー監督体制でブラジルW杯を迎える予定だった。南アフリカW杯でベスト16入りするなど十分な実績があり、洗練されたカウンター戦術が高い評価を得ていただけに、継続路線という決断に不満を抱く者はいなかった。

 しかし2011年6月、地元開催のCONCACAFゴールドカップ決勝でメキシコに敗れたことにより、アメリカサッカー連盟は継続路線が限界に達したと判断し、ブラッドリー監督を解任。

 後任として、06年ドイツW杯で開催国ドイツを率い、3位と躍進させたクリンスマンを招聘することとなった。

 連盟のスニル・グラティ会長は監督交代に際して「今が適切なタイミングだと信じている」と語ったが、W杯予選がスタートするまでに(アメリカは2013年6月から始まる3次ラウンドから参加)1年ほどの期間があったこの時期は、新監督が戦力を見極め、一からチームを作り上げなければならないことを考えると、まさにギリギリのタイミングだったと言えるだろう。

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