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“同情票”でクリロナ有利。それより論ずべきは“人気投票”と化したバロンドールの本当の価値と存在意義

text by 山本美智子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

毎年繰り返されるネガティブ・キャンペーン

“同情票”でクリロナ有利。それより論ずべきは“人気投票”と化したバロンドールの本当の価値と存在意義
騒動の後、ロナウドが最優秀候補の様相を見せている【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 実際この騒動の後、ロナウドが最優秀候補の様相を見せている。昨年、FCバルセロナを準決勝で圧倒的な強さで倒し、チャンピオンズリーグを制覇し、国内リーグも制したバイエルン・ミュンヘンで活躍したリベリーは、普通に考えれば、受賞の第一候補になってもおかしくないが、まるでノミネートにも入っていないかのようだ。

 レアル・マドリーがリーグ優勝もチャンピオンズリーグも制覇していないからといって、メッシの永遠のライバルであるロナウドの価値が下がるわけでは、もちろんない。それどころか、現在のメッシ=ロナウドの争いは、二人の水準をキープし続けていく原動力になっているといっても過言ではない。

 その一方で、毎年12月が近づくと、バロンドールの話題でスペインではそれぞれのスポーツ紙、テレビメディアなどがプレッシャーをかけ始める。マドリードびいきの新聞は、いかにロナウドがふさわしく、メッシが今年は受賞する価値がないかとこきおろし、それはバルセロナびいきの新聞にしても同様である。

 正直、毎年繰り返されるこの“アンチ”合戦に食傷気味だ。もう、どっちでもいいから早く決めて、さっさと終わらせてくれ、という気分になる。また、受賞発表前に既に写真撮影も済ませているのだから、会場に向かうノミネート選手らも既に投票結果を知っているわけで、正直、そこまで大枚をはたいてショウアップする必要があるのかとも思う。

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