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本田圭佑 10年前

なぜ右で起用? 周囲との連携は? 戦術面から分析するミラン・本田圭佑のデビュー戦

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

高く評価すべき柔軟なプレー

なぜ右で起用? 周囲との連携は? 戦術面から分析するミラン・本田圭佑のデビュー戦
本田がどのように存在感を示し、悩めるチームのムードを変える存在となれるのか【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 そして本田の動きには、ギャップの間にポジションを取ってボールを回そうとする姿勢が見られた。ボールサイドに寄ってパスを貰い、ワンタッチで叩いた後は、裏へ飛び出すのではなくバロテッリやパッツィーニからリターンが貰い易いところへ距離を詰める。

 そうした動きは、試合が進むに連れて周囲から少しずつ理解を得る。バーを叩いたシュートは、まさにそういった連動の中でモントリーボからパスを付けてもらったことにより、放てたものだった。

 また中に絞るだけではなく、サイドに開いても仕事ができていた。特に49分、サイドのスペースを破って右足で正確なクロスを放ってみせたシーンは、地元記者たちにも好評だった。利き足の左のみならず、またエリアの真ん中に固執することなく仕事をしてみせたのは、様々な戦術に対応出来るというアピールにもなることだろう。

 もっとも、本田がフリーでエリア内絶好の位置にポジションを取っても、パスが来ないこともあった。これで足元にボールが入れば更なるビッグチャンスも得られたはずだが、合流間もない時期ではそれも仕方はないだろう。

 彼も逆に味方から「このスペースに走って欲しい」と指示を貰うこともあった。こういった部分が練習、実戦を経てどう改善し、そしてどういう結果に繋がっていくのかを追うことも、今後の観戦の楽しみになる。

「顔見せとしては上々だった」とアッレグリ監督は評したが、まさにその言葉通りのデビュー戦だった。ただチーム状態は非常に悪く、アッレグリ監督自身も解任が発表された(後任はアシスタントコーチのタソッティ)。その中で本田がどのように存在感を示し、悩めるチームのムードを変える存在となれるのか。クラブの動向も含め、しばらくは目が離せない。

【了】

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