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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その2)

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by editorial staff

学校とミスマッチになる子どもたち

――幸野さんの話を要約すると、ボトムアップ的な指導で試合に勝てる、という考え方が広まれば、高校サッカーという現状のシステムを残したままでも状況が変わるのではないか、ということですね。

幸野 そうですね。そのためには「仕組み」を変えていく必要があると思います。例えば中学ですけど、教師が引率しないと試合に行けないという学校法の制約があります。S級も含めて指導者ライセンス保持者が溢れている現状があるのに、学校法による縛りのせいで、ライセンス保持者が指導に入れない。

 プロが指導した方がベターなのに、本当はやりたくもない先生が引き受けざるをえない環境があります。一例に過ぎませんが、こうした仕組み・制度を整備していく必要があると思っています。

加部 理想を言えば、それぞれのサッカー部をクラブ扱いにして、そのサッカー部とは合わなかったから移籍します、ということが自由にできれば良い。勉強するところとサッカーをする学校が別でも全然構わないと思う。

幸野 (人材の)流動性を高める仕組みづくりをしていくべきです。実際、学校に入ってみなければわからないですよ。会社だって3ヶ月間の試用期間があるのに、特待生で入学した子は、サッカーを辞めたら学校も辞めなきゃいけないわけじゃないですか。学校とミスマッチになる子どもたちを僕はたくさん見てきて、彼らから相談も受けました。

 プレーヤーズ・ファーストの観点からすれば、現状のシステムの大枠を残したままでも、仕組みを変えることはできると思うので、それはやるべきだと思います。選手だけでなく、監督やコーチなどの指導者にも流動性が必要だと思います。こうした改革のためには、やはり協会が先頭に立って進めっていって欲しいですね。

加部 そうすれば、問題のある監督も当然淘汰されていきます。補欠の数も減る。繰り返しますが、勉強する(所属する)学校とサッカーする学校は別でいい。

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