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【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その2)

シリーズ:【特別対談】加部究&幸野健一 text by 森哲也 photo by editorial staff

学校を転籍すると半年試合に出場できないルール

【特別対談】加部究&幸野健一:理不尽が横行する高校サッカーの非常識。真の「プレーヤーズ・ファースト」が浸透するために必要なこと(その2)
【写真:編集部】

幸野 でも学校関係者にそれを言っても、じゃあ学校はなんのために部活をやっているの、という話になってしまいます。本音を言えば、学校側は入学する生徒を増やしたいという側面もありますよね。学費を払ってくれる人数は多い方が良いですから。

加部 スポーツは手っ取り早いですからね。良い選手を揃えてしまえばそれで勝ててしまう。それに対し学力を上げるのには時間がかかる。

――幸野さんの言う流動性というのは、高校を転校するということですか。

幸野 現状では、プレーするチームを変えるには、高校を辞めるか転校するしかないわけです。でもそれは現実問題としては非常に難しいし、制度的にも半年間出場できないという縛りもある。

加部 転籍したら半年間出場できないルールは絶対に外すべきですよね。

――半年間試合に出られないというのは何のためでしょう。

幸野 引き抜きを防ぐということでしょう。プレーヤーズ・ファーストになっていないことの証左ですよね。制度面も含めて、変えるべきことはたくさんありますが、それを現状の大枠のなかでどう実現していくかということが重要でしょうね。

 根本的に、スポーツをする施設が学校に集中してしまっているから、現状では学校とクラブを分けるというのは難しいんですよ。だから、加部さんが仰っていたように、学校の部分と部活の部分を切り離して、学校関係者でないプロのコーチが指導したりするという仕組みをつくることは、一つの解決策かと思います。

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