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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。謎の企業“トラフィック”はサッカーの敵か、味方か(その1)

ロナウジーニョ、移籍のからくり

 ロナウジーニョの俸給は月130万レアル(約6500万円)という巨額なものだった。ただ、フラメンゴからは30万レアルのみ、残りはトラフィック・スポーツが支払うという契約だった。

 移籍直後、トラフィックのジュリオ・マリスCEOは地元紙の取材にこう答えている。

「我が社が利益を出すには、フラメンゴのユニフォームスポンサーを3000万レアル(約15億円)以上集めなければならない」

 トラフィック・スポーツが、俸給の大部分を負担する替わりに、クラブのユニフォームのマーケット権利を譲り受けることになっていたのだ。

 コパ・アメリカ、ブラジル国内リーグのテレビ放映権を扱う、トラフィック・スポーツは以前から放送の世界では広く知られていた。

『トラフィック・グループ』には、スポーツ・マーケティング及び放映権を扱う、トラフィック・スポーツの他、スタジアム運営の『トラフィック・アリーナ』、イベント製作の『トラフィック・イベント』、『TVテン』(テレビ局)、『ボン・ジア』、『ジアリオ・デ・サンパウロ』(新聞社)などが含まれている。欧州のアムステルダム、リスボン、アメリカのマイアミにも支社がある多国籍企業である。

 トラフィックがスポーツマネージメント業に乗り出したのは、2000年代半ばのことだった。

 2005年、ブラジルに『デスポルチーボ・ブラジル』(以下DB)というクラブチームを立ち上げた。2006年には、アメリカのマイアミFCを買収、さらに2008年、DBのためにサンパウロ州のポルト・フェリスに約8億8000万円を掛けて『アカデミア・トラフィック』というトレーニングセンターを建設した。

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