W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。謎の企業“トラフィック”はサッカーの敵か、味方か(その1)

ブラジルのサッカーは明暗がはっきりしている。ピッチ上で熱狂が続く一方で、裏側では不正な金が飛び交い、時に選手たちも権力者も犠牲になる。そんなビジネス面に新興勢力が登場した。トラフィックという企業だ。ロナウジーニョの移籍で一躍有名になったこの企業は一体何をしているのか? 現地でその正体に迫った。

2014年02月24日(Mon)19時23分配信

シリーズ:W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール
text by 田崎健太 photo Kenta Tazaki
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ジーコですら邪魔される世界

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。謎の企業“トラフィック”はサッカーの敵か、味方か(その1)
ジーコ【写真:田崎健太】

 ブラジルサッカー界は裏金が飛び交う、魑魅魍魎とした世界である。

 ブラジルのほとんどのサッカークラブは極めて非民主的に運営がなされている。ごく一部、一人か二人の人間、いわゆる「カルトーラ」に権力が集中している。カルトーラとは、会長などサッカー界を牛耳る人間を差す言葉だ。権力の独占は腐敗に直結する。そして、腐敗を外に知られないように、カルトーラたちは互いに手を結ぶ。

 かつてジーコはこうした状況を変えようと、地元リオ・デ・ジャネイロに『CFZ』というクラブチームを立ち上げた。CFZは株式会社が運営し、透明な経営を目指した。チームは力をつけ、リオ州リーグ一部まで手が届くところまで来た。

 しかし――。

 カルトーラたちはCFZと自らのクラブを比較されることを嫌悪した。CFZは一部昇格に相当する成績をあげながら、ささいな書類上の瑕疵を理由として昇格は先延ばしされた。それが何度も繰り返された。結局、ジーコはクラブ経営を断念した。リオの英雄、ジーコでさえこの結果だ。

 そんな中、少々異質なのは、ブラジルサッカーの新興勢力とも言える『トラフィック・スポーツ』である。

 世界中にこの企業の名前が知られるようになったのは、2011年の年末、ロナウジーニョがACミランから母国ブラジルのフラメンゴに移籍した時だった。

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