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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。謎の企業“トラフィック”はサッカーの敵か、味方か(その1)

勝利を義務づけられていないチーム

 サンパウロ市から約120キロ離れた場所にあるこのトレーニングセンターは、フルサイズのグラウンド五面、ジム、宿泊施設を備えている。

 DB設立を担当した弁護士であり、現在はトラフィックの法律部門を統括するラファエル・ケイロス・ボテーリョはこの場所を選んだ理由をこう語る。

「まずはコストの問題。サンパウロ市の郊外でこれだけの場所を確保すると莫大な金額が掛かる。本当はカンピーナスに施設を作ることを考えていた。ところが、カンピーナスの地価が上がっている。そして渋滞もひどく。雨が多少降り、地の利がいいところを探して、ポルト・フェリスから約一キロ離れた今の場所になったんだ」

 カンピーナスはグアラニやポンチプレッタが本拠地を置く、サンパウロ州の商業都市である。

 トップチームは現在、サンパウロ州二部リーグに所属している。しかし、これは存在しているに過ぎない。

「トップチームがないと連盟が下部組織を持つことを許可しない。それだけの話だ」

 ボテーリョは実にそっけない口調で言った。

 この言葉は他のクラブと全く違う、デスポルチーボ・ブラジルの存在意味を良く現している。

 つまり、トップチームは勝利の義務がないということだ――。

【次週に続く】

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